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平成29年度研究成果報告書

研究課題
学校全体で取り組む課題

(3)社会の中で活用される論理的思考やそれらを表現する力を学校全体で育成するための教育課程の編成,指導方法等の工夫改善に関する実践研究

1 研究主題等
 研究のキーワード

「論理的思考力」「教科横断的指導」「手帳指導を通じた家庭学習時間の記録と振り返り」「生徒のものの見方・考え方を広げる朝新聞の取組」
 研究結果のポイント
○「論理的思考力を育成するための実践とは何か」を全体で共有し,教科横断的な視点に立ち,生徒の思考力・判断力・表現力を育成する取組の推進。
○正答が定まっていない問いに対して,生徒が自らの考えをまとめ,表現する取組の推進。


(1)研究主題
社会で生きるために必要な論理的思考力の育成を図るための指導と評価に関する研究
(2)研究主題設定の理由
本校においては,生徒に思考力・判断力・表現力など社会で生きる力を育むため  に,学習指導をより組織的,系統的に進めることが最重要課題である。しかし,生徒 は高校入学前の学習習慣の定着に課題があり,学ぶことの意義を理解して学習に取り 組んでいるとは言えない。また,学習の基盤となる知識の定着や自発的に学ぼうとす る意欲が十分ではなく,学んだことについて自分の考えを述べたり,他者の考えを取り入れ自らの考えを深めたりすることが困難な場合が多い。このことを踏まえ,
ア 各教科の授業において,義務教育段階の学び直しを含めて,知識・技術の習得とともに,思考力・判断力・表現力の育成を図ること
イ 各教科で学んだことを基に,生徒が自分の考えを表現したり,他者と対話的に学習を行ったり活動を全教科で実施し,効果的な学びを深められる授業を展開すること
を共通認識とし,全教員が教科横断的な視点を持ちながら授業を相互評価するとともに,それぞれの実践を共有する。また,本研究を通じて,自ら主体的に考え,他者の考えを取り入れながら,自らの考えやものの見方を深めることのできる生徒の育成を目指し,研究主題を設定する。

(3)研究体制

(4)1年目の主な取組
平成29年度
朝新聞(5月~)
校内研修会①(6月)
授業交流週間①(6月)
手帳による学習時間の調査(8月~)
授業交流週間②(10月)
授業交流週間③(11月)
校内研修会②(11月)

2 研究内容及び具体的な研究活動
(1)研究内容

教科横断的な視点に立ち,生徒に育成する思考力・表現力を具体化し,教科など全ての教育活動において評価の観点を明確にする。その評価を授業改善に生かすとともに,本研究で得られた成果を生徒にフィードバックしながら研究を推進する。
ア 「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
 (ア) 各教科等において自分の考えなどを他者に効果的に表現する活動の工夫・改善
 (イ) 教科の特性を生かした言語活動,教科横断的な視点による学び合い活動の研究
イ 論理的思考力の定着に向けた指導の改善と学習評価の在り方の研究
 (ア) パフォーマンステストを導入するなど評価の在り方の検討
 (イ) 学習到達目標の明確化,その目標と評価を関連付けたルーブリックの作成
ウ 自らの考えを的確に文章にするなど,言語(音声,文字)で適切に表現する力の育成
 (ア) 読み書き活動の充実(新聞を活用し,事実の読み取りと根拠を明示した意見の作成,進路活動と連動した小論文・作文指導による,課題を踏まえた論述力の育成)
 (イ) 授業における振り返り活動を通じた生徒自身による学びの検証
エ 生徒の自己管理能力の育成
手帳指導による家庭学習計画の立案と実施後の振り返り,要因分析と次の学習改善

(2)具体的な研究活動
ア 「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
 (ア) 年3回の授業交流週間(各2~3週間)で,「授業規律の保持のための工夫」と「論理的思考力を育成するための実践」の2テーマを設定し,互見授業を実施する。
 (イ) 3,4人の小グループを編成し,3回の授業交流週間中はグループのメンバーを固定することにより,生徒の変容や教師の実践の変化を把握しやすくする。
 (ウ) 参観者は授業者に記録用紙を提出し,授業内での気付き(授業実践,生徒の活動や変容)を提示するとともに,交流週間のまとめとしてグループごとに合評会を行う。
 (エ) 校内研修会(11月末)でこれまでの授業交流及び合評についてグループ間で交流し,授業改善のための評価の観点や優れた実践を学校全体で共有する。
イ 論理的思考力の定着に向けた指導の改善と学習評価の在り方の研究
 (ア) 授業交流及び管理職による授業参観において,本時に提示される学習目標と授業での生徒の取組,学習成果の自己評価の状況について,適切な内容で行われているかを検証している。目標が抽象的で生徒が「何が分かったか」「何ができるようになったか」を評価できなかったり,授業が目標達成に向けた展開になっていなかったりした場合には,単元や本時の内容で「何を学ばせたいのか」「どのような力を身に付けさせたいのか」を教員に確認させた上で,適切な到達目標を具体的な言葉で提示するよう指導,助言している。
 (イ) 思考力,判断力の育成のためのグループ学習(話し合い,学び合い)において,グループ全体としての学習成果の評価とあわせて,グループ内での生徒個々の活動状況やグループ活動で果たした役割に則した意欲・態度,理解,思考・判断などの評価をどのように行うかについて,引き続き検討を行い,ルーブリックの作成に反映させる。
 (ウ) 教科の特性に合わせたパフォーマンス課題の作成及び評価について,今年度の授業実践に基づき,次年度のシラバス改訂にあわせて,シラバスに明記する。
ウ 自らの考えを文章化し,言語(音声,文字)で適切に表現する力の育成
 (ア) 毎週金曜日のSHR前の10分間を活用し、生徒に新聞記事を読ませ,社会的なものの見方や考え方を広げ深めるとともに,内容に則した正答の定まらない問いを設定し,根拠を明確にさせて答えることにより思考力や表現力を育てる。
 (イ) 記事の選定及び問いの設定は,教科横断的な視点から,各教科・科目で扱う内容に則した新聞記事を持ち寄り,教科間で関連する単元などを確認した上で,国語科を中心に連携して行う。
 (ウ) 解答状況は,①本文の記述や自らの持つ正しい知識に基づいて具体的な根拠を示して意見を述べている,②意見は述べているが根拠が不明確あるいは誤りがある,③無回答に3分類する。国語の授業内で根拠を示す必要性や具体的な示し方を指導し、記事内容に関係する強化の授業内では見方、考え方の指導を行う。
エ 生徒の自己管理能力の育成
 (ア) ラーンズ「今未来手帳」を全生徒に購入させ,毎週の学習時間を記入させる。
 (イ) 学級担任は,毎週月曜日に手帳を回収し,家庭学習時間及び学習の内容を記録する。
 (ウ) 教科担任は,授業において,思考・判断を問う内容やより高次な内容の課題を提示する。
 (エ) 生徒の学習記録と教科からの課題の内容を照合し,「課題に確実に取り組んでいるか」や「課題が家庭での学習を促す質,量を保証している か」などを把握し,取組が不十分な生徒に対しては教科担任と学級担任が連携して指導し,家庭学習習慣の確立を目指す。

(3)PDCAサイクルへの取組について
ア 生徒への質問紙調査を4月と10月の2回実施した。
イ 質問エ「授業がよく分かる」に対し,4月は「1 当てはまる」及び「2 やや当てはまる」と回答した生徒は62.4%であったのに対し、10月調査では80.6%と大幅に改善した。
ウ 質問オ「『なぜそうなるか』に注意して他の人の考えを聞くことができる」に対し、4月と10月ともに概ね70%の生徒が「1 当てはまる」及び「2 やや当てはまる」と回答しており、今回の取組による効果とは考えにくい。
エ 授業内で学んだことを基に、生徒が自分の考えを表現したり,他者と対話的に学習を行ったりする活動を適宜取り入れているが,論理的指導の基盤となる「なぜ」を考える力の向上につながる実践になっているかを検証する必要がある。(授業内のどのような場面でそうしているか,家庭学習の際に分からない内容に当たったときはどうか,など。)


3 研究の成果と課題(○成果●課題)
 
○ 3回の授業交流を通じて,「論理的思考力を問う実践とは何か」について教科を越えて共有し,共有した内容を次回以降の授業に活かすことにより,教科横断的に論理的思考力を育成する取組の第1歩を踏み出すことができた。
○ 朝新聞の取組を通じて,正答が定まっていない問いに対して生徒が自らの考えをまとめ,それを表現することに慣れさせることができた。
○ 生徒へのアンケートから,朝新聞の取組を通じて「読む力・書く力が身に付いたかどうか」の項目について肯定的な意見(「高まった」または「少し高まった」)が6~7割を占めたことから,論理的思考の基盤となる思考力,判断力,表現力の高まりが見られた。
● 新聞を活用した取組の充実を図ってきたが,「論理的思考力がどの程度身に付いたか」などを測る規準及び基準をより具体化する必要がある。そのために,教科で扱う内容に関連した記事を各教科で選定し,思考・判断・表現させる中で,教科で学習した内容の深まりを測るとともに,教科間で関連した内容を照合しながら,より複雑な内容や正答が決まっていない内容に対してどう考察しているかを測る内容を扱う。また,一つの事柄に対して複数社の記事を読み比べることで,ものの見方を広め,より根拠を明確にして述べる能力を育成する。
● 生徒へのアンケートから,「手帳による学習時間の調査」に係る「学習時間が増えたかどうか」の項目について肯定的な意見(「増えた」または「少し増えた」)が5割にとどまった。生徒に学習を促し,基礎的基本的な事項の定着と思考・判断を促す課題及び生徒の学力に合った課題の提示について,教科間で情報共有や意見交換を活発に行い,検討を進める必要がある。


4 今後の取組
(1) 授業交流週間において教員同士がお互いの実践や課題を共有することができたことは,経験年数の浅い本校の教員集団には非常に有益であったため,次年度は,反省アンケートなどから出た意見に基づいて,授業交流週間を充実させ,授業改善を図っていきたい。
(2) 新聞を活用した取組は,教科が連携して取り組む必要があるとの意見が多数あったことから,教科横断的な視点を取り入れてさらに深化させていきたい。また,複数社の記事を比較させ,違いについて言及させることで,より論理的思考力の育成に直結した内容にしていきたい。
(3) 各教科において論理的思考力を高める取組ができるよう,問いの出し方などの具体的な方法を共有し,生徒が自分の考えなどについて筋道を立てて話したり書いたりできるような取組を行いたい。